8月19日の米国株式市場は主要3指数が揃って上昇し、直近3営業日続いた下げから反発した。S&P500は前日比0.21%高の7707.98、ダウ工業株30種平均は119.65ドル(0.22%)高の53463.05、NASDAQ総合指数は0.16%高の26331.09で取引を終えた。財務省が長期債の買い戻し操作の増額を発表したことを受けて債券が買われ利回りが低下、これが株式相場を支援した。取引開始後は上げ幅を拡大し、ザラ場高値ではダウが360ドル超(+0.7%)、S&P500も+0.7%、NASDAQも+0.6%まで上昇する場面があったが、終盤にかけて上げ幅を縮小した。恐怖指数VIXは前日比6.0%低下の14.89と、投資家心理の落ち着きを示した。この日はモデルナの急騰(+177.91%)が相場全体のセンチメントを大きく押し上げる材料となった。
モデルナ急騰でバイオ株沸騰、主要3指数は続伸
8月19日の米国株式市場は3日続落から反発。国債買い戻し増額発表を受け債券が買われ、S&P500・ダウ・NASDAQは揃って上昇。モデルナが黒色腫ワクチンの好結果とインフル新薬承認で177%急騰し関連バイオ株も連れ高。半導体はアジア発の売りが波及し軟調だった。
市場概況
セクター動向
バイオ・製薬セクターが市場を牽引した。モデルナがメルクと共同開発する黒色腫(メラノーマ)個別化mRNAがんワクチンの第3相試験で良好な結果が出たことに加え、FDAが季節性インフルエンザワクチン「mFLUSIVA」を承認したことが重なり急騰。この材料はバイオンテック(+21.96%)やテンパスAI(+24.35%)にも波及し、mRNAプラットフォーム・がん領域関連銘柄が軒並み買われた。一方、半導体・テックハードウェアセクターは軟調だった。前日からのアジア市場での半導体売りが波及し、韓国総合株価指数(KOSPI)がザラ場で一時6.8%超下落、サムスン電子やSKハイニックスが8%超急落するなど、AI関連の設備投資負担や利回り上昇への懸念からアジア半導体株が総崩れとなり、米国市場でもNvidiaが一時ザラ場ベースで約1530億ドルの時価総額を失うなど半導体関連株に売りが波及。SiTime、シーゲイト・テクノロジー、MACOMなど周辺のハードウェア・部品関連銘柄が軒並み大幅安となった。消費関連ではエスティローダーが決算好感で急伸し、化粧品・小売セクターの一角を押し上げた。金・銀鉱山株ではヘクラ・マイニングが機関投資家の保有株開示(13F)を材料に買われた。
注目銘柄
- Moderna, Inc. (MRNA): +177.91% — メルクと共同開発するmRNAがんワクチン「intismeran autogene」の第3相試験(INTerpath-001)で、黒色腫の術後補助療法としてキイトルーダ単剤と比較し再発リスクを有意に低減する結果が判明。mRNAがんワクチンとして初の後期段階治験成功と評価された。加えてFDAが50歳以上向け季節性インフルエンザワクチン「mFLUSIVA」を承認したことも重なり、出来高は3カ月平均の約18倍に急増した。
- Tempus AI, Inc. (TEM): +24.35% — 直接の自社材料ではなく、モデルナ・メルクの治験結果を受けた連想買い。モデルナのがんワクチン開発はゲノム解析企業パーソナリス(Personalis)の技術基盤に依存しており、テンパスAIは同社を約15億ドルで買収する契約を先月締結済み。この治験成功により買収の戦略的価値が裏付けられたとの見方から株価が急伸した。
- BioNTech SE (BNTX): +21.96% — 第2四半期売上高が2億2370万ユーロとコンセンサス予想(約1億5780万ユーロ)を上回る決算を発表。新型コロナワクチン収入は減少したものの、166億ユーロの潤沢な手元資金と14件のがん領域後期臨床試験を強調し腫瘍領域への転換を好感。EUで変異株対応の新型コロナワクチンが承認されたことや、創業者ウーグル・シャヒンCEOが2027年2月に後任のグイド・エルカーズ氏へ引き継ぐ経営体制刷新も材料視された。カナコード、シティ、エバコアISI等がオーバーウエイト評価を継続。
- Nebius Group N.V. (NBIS): -9.69% — データセンター拡張資金として27.5億ドル(2030年満期)と17.5億ドル(2034年満期)、総額45億ドルの転換社債による資金調達計画を発表。新株転換に伴う需給悪化懸念や希薄化リスクが嫌気され急落。それでも年初来では株価は174%高い水準を維持している。
- Seagate Technology Holdings plc (STX): -7.87% — 前日に続きアジア発の半導体・テックハードウェア株売りが波及。韓国株の急落や利回り上昇への懸念、AI関連設備投資の重荷が意識される中、大幅高が続いていた反動で利益確定売りが優勢となった。同業ウエスタンデジタルが指摘したハイパースケーラー顧客への売上集中リスクも懸念材料として意識された。
為替・金利動向
米10年国債利回りは前日から0.01ポイント低下し4.70%となった。財務省が長期債の買い戻し操作増額を発表したことを受け債券需要が高まり利回りが低下、これが株式相場の支援材料となった。ドルインデックスは98.788と前日比0.77%低下し、ドル安が進行。ドル円相場は158円台と前日比で約0.9%のドル安・円高で推移した。
今後の注目点
8月20日(同日夕刻~21日未明)にはFOMC議事要旨(7月開催分)の公表が予定されており、利下げペースを巡るFRB内の議論内容が精査される見通し。週後半の8月21日には新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、S&P グローバル製造業・サービス業PMI速報値、中古住宅販売件数などの経済指標が相次いで発表される。同日からはジャクソンホール経済シンポジウムが開幕し、パウエルFRB議長の講演内容が金融政策の先行き見通しを左右する材料として注目される。個別銘柄では、モデルナ・メルクのがんワクチン治験結果を受けたバイオ・製薬セクターの物色動向や、アジア発の半導体株売りが米国のハイテク・半導体セクターにどこまで波及するかが引き続き焦点となる。
