2026年9月16日の米国株式市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を0.25%引き上げ、フェデラルファンド金利の誘導目標を3.75〜4.00%とする決定を受けて軟調な展開となった。今回の利上げは3年ぶりで、FOMC参加者は全会一致で決定。パウエル後任として就任したウォーシュ議長は会見でインフレの根強さを強調し、当局のドットプロットでは年内にもう一段の利上げの可能性が示された。この結果、ダウ工業株30種平均は前日比631.21ドル(1.21%)安の51461.90ドルと大幅続落。S&P500種は0.45%安の7551.81、ナスダック総合は0.01%安の25978.42とほぼ横ばいで終えた。ナスダックの下げ渋りには、インテルが韓国SKハイニックスとの米国内半導体生産に関する協議報道を受けて4%高となったことが寄与した。市場の警戒感の高まりを映し、恐怖指数VIXは2.97%上昇の17.71となった。
FRB3年ぶり利上げ、ダウ急落 JBHT13%安・半導体明暗
FRBが3年ぶりに0.25%利上げしパウエル後任のウォーシュ議長がインフレ警戒を示す中、ダウは1.21%安。トラック大手JBハントは業績警告で13%超急落し輸送株全般が連れ安。半導体はセムテック・ルミナムがAI光学関連の好材料で急伸する一方、オン・セミは9%安と明暗が分かれた。原油安でダイヤモンドバックも下落。
市場概況
セクター動向
半導体セクターは銘柄間で明暗がくっきりと分かれた。データセンター・AI光学関連に強みを持つセムテック、ルミナム、コヒレント、クレドテクノロジーは業績・ガイダンスや投資会社の強気判断を材料に軒並み大幅高となった一方、オン・セミコンダクターは直近の急騰後の利益確定売りや金利上昇を嫌気し9%超下落するなど、AI関連の勢いが強い銘柄と出遅れ・バリュエーション懸念のある銘柄で明暗が分かれた。輸送(トラッキング)セクターはJBハント・トランスポートが燃料費急騰と運転手確保コスト増を理由に第3四半期業績見通しを下方修正したことを受けて急落し、シュナイダー・ナショナル、オールド・ドミニオン、ナイト・スイフト、RXO、XPO、ランドスターなど同業他社にも売りが波及した。エネルギーセクターでは、米原油在庫の予想外の積み増し(API統計で約710万バレル増)を受けた原油価格の下落や投資銀行の格下げを背景に、ダイヤモンドバック・エナジーなどシェール関連株が軟調に推移した。利上げ・長期金利上昇を受けて金融・ハイベータ株にも売りが波及し、フィンテック関連のチャイム・ファイナンシャルも下落した。
注目銘柄
- J.B.ハント・トランスポート・サービシズ (JBHT): -13.30% — 燃料費の急騰(第2四半期比で約1000万ドルの追加コスト)とドライバー採用関連費用の増加(約2500万ドルの追加コスト)を理由に第3四半期の一株当たり利益(EPS)見通しを市場予想の2.09ドルから1.77ドル前後へ下方修正したことが嫌気され、1983年の上場以来でも屈指の下落率を記録した。
- オン・セミコンダクター (ON): -9.02% — 直近数カ月の急激な株価上昇後の利益確定売りに加え、ウェルズ・ファーゴが目標株価を110ドルから95ドルへ引き下げるなどバリュエーション懸念が浮上。FRBの利上げで長期金利が上昇したことも成長株・半導体株全般への売り圧力となった。
- セムテック (SMTC): +11.03% — 第2四半期(FY27)売上高が前年比33%増の3億4190万ドルと市場予想を上回ったほか、第3四半期はEPS1.02〜1.08ドル、売上高4.05億〜4.15億ドルと市場予想を大幅に上回るガイダンスを提示。データセンター・LoRa事業が前年比120%成長する見通しを示したことに加え、ロス・キャピタル、UBS、ノースランド、ベアードなど複数の証券会社が目標株価を182〜300ドルへ引き上げた。
- ルミナム・ホールディングス (LITE): +9.59% — ドイツ銀行が目標株価1200ドルで新規カバレッジを開始し、光デバイス技術をAIデータセンター接続網に不可欠な技術と評価。エバーコアISIも目標株価1100ドルでアウトパフォーム評価を開始したほか、ロスチャイルド&コー・レッドバーンも目標株価を1294.85ドルへ引き上げた。CEOが2028会計年度に向けた高収益の光学事業成長を背景に長期的な増益見通しを示したことも好感された。
- ダイヤモンドバック・エナジー (FANG): -8.03% — 米週間石油統計(API)で原油在庫が約710万バレルと市場予想に反して積み増しとなったことを受け原油価格が下落し、シェール関連株が軒並み売られた。モルガン・スタンレーによる投資判断の引き下げや、インサイダーによる大口株式売却の報道も株価下落に拍車をかけた。
為替・金利動向
FRBが3年ぶりとなる0.25%の利上げを決定し、政策金利を3.75〜4.00%に引き上げたことが金利・為替市場の最大の材料となった。米10年国債利回りは前日に2007年7月以来となる節目の5%を上回った後、9月16日は「利上げがインフレ抑制に寄与する」との見方から幾分低下し5%近辺で推移した。ドル指数(DXY)は利上げ観測を支えに99.50近辺と底堅く推移し、前日比で0.4%程度の上昇となった。ドル円相場は1ドル=154.72円前後で推移し、前日比で若干の円高(ドル安)となったが、これは9月18日(金)に予定される日銀の利上げ観測を織り込む動きとみられる。
今後の注目点
FRBは今回のドットプロットで年内にもう一段の利上げの可能性を示唆しており、今後発表される雇用統計や消費者物価指数(CPI)などのインフレ関連指標が次回会合での判断材料として一段と注目される。为替市场では9月18日(金)に予定される日本銀行の金融政策決定会合での利上げの有無が焦点となる。個別企業では、JBハントの業績警告を受けてシュナイダー・ナショナルやオールド・ドミニオン、ナイト・スイフトなど同業他社の決算発表内容やガイダンスに市場の関心が集まる見込み。半導体セクターでは、AIデータセンター向け光学部品需要を追い風とするセムテックやルミナムなどの銘柄群の上昇モメンタムが継続するか、また金利上昇局面でのオン・セミコンダクターなどバリュエーション調整銘柄の値動きが引き続き注目される。VIX指数の上昇を踏まえ、金利上昇局面における株式市場全体のボラティリティ動向にも警戒が必要となる。
