2026年9月23日の米国株式市場は主要3指数が揃って下落した。S&P500は前日比0.76%安の7706.03、ダウ工業株30種平均は同1.03%安の51511.59、ナスダック総合指数は同0.69%安の26936.04で取引を終えた。米10年国債利回りが2007年7月以来の高水準まで上昇し、直近の購買担当者景気指数(PMI)が予想より強い内容だったことを受けてインフレ再燃と金融引き締め長期化への懸念が強まったことが株式相場の重しとなった。原油価格の上昇もインフレ・借入コスト懸念を増幅させ、投資家心理を悪化させた。恐怖指数(VIX)は15.18と前日比2.08%上昇し、市場の警戒感がやや高まったことを示した。
米国株3指数続落、長期金利上昇が重し
2026年9月23日の米国株式市場は主要3指数が揃って続落した。10年債利回りが2007年以来の高水準を付けたことが嫌気され、公益・消費者ディスカショナリー株が売られた。サイバーセキュリティ株はAI関連の材料で上昇した一方、Paychexは決算失望、旅行予約株はAIエージェントによる中抜き懸念で急落した。
市場概況
セクター動向
この日は公益事業と一般消費財(消費者ディスカショナリー)セクターの下落が目立ち、いずれも1%超下落して相場全体を押し下げる主因となった。特に消費者ディスカショナリーセクターでは、Meta社のAIエージェント「Muse」がオンライン旅行予約仲介業者を介さずに直接ホテルや航空券を予約できる可能性が示されたことで、旅行予約関連株が軒並み急落し、セクター全体で約1.5%下落した。一方、サイバーセキュリティ関連銘柄はAIを活用した防御サービスの拡充や、アナリストによる目標株価引き上げを材料に相場逆行高となり、金利上昇による地合い悪化の中でも底堅さを見せた。
注目銘柄
- Palo Alto Networks, Inc. (PANW): +5.00% — 新たなエージェント型AI防御サービス「Unit 42 Continuous Frontier AI Defense」の提供開始が好感された。同サービスはAnthropicやOpenAIの生成AIモデルを統合し、企業のセキュリティ脆弱性を継続的に検知・修正する。加えてモルガン・スタンレーが目標株価を410ドルに引き上げてトップピック指定を継続、ウェドブッシュも400ドルに引き上げ「ベストアイデアリスト」に採用したことも買い材料となった。
- CrowdStrike Holdings, Inc. (CRWD): +4.97% — モルガン・スタンレーが目標株価を238ドルから254ドルに、スティーブンスが280ドルに引き上げるなど複数のアナリストがAI主導のサイバーセキュリティ投資拡大の主要な受益者として強気姿勢を示した。ガートナーが同社をID脅威検知・対応分野で「顧客の選択」の唯一の企業に選出し、Falcon IdentityのARRが前年比34%増の5.85億ドル超に達したことも好感された。
- Okta, Inc. (OKTA): +4.45% — AWS、Google Cloud、CrowdStrike、Salesforce、ServiceNow、Zscaler、Wizと共同で立ち上げたAIエージェントのID保護を目的とする業界横断的な「Blueprint Alliance」が投資家の期待を高めた。ウェルズ・ファーゴが目標株価を180ドルから200ドルに引き上げるなど複数のアナリストが目標株価を200ドル前後に引き上げたほか、ラスベガスで開催中のユーザー会議「Oktane 2026」でのAI戦略の発表への期待も材料視された。
- Paychex, Inc. (PAYX): -8.77% — 2027会計年度第1四半期決算で調整後EPSが1.34ドルと市場予想の1.32ドルを上回り、売上高も市場予想通りの16.3億ドル(前年比6%増)だったが、総費用が予想を上回り調整後EBITDAが未達となったほか、通期の業績見通しを据え置いたことが「成長加速に力不足」と受け止められ、失望売りが広がった。営業キャッシュフローが前年を下回ったことも嫌気された。
- Expedia Group, Inc. (EXPE): -7.72% — Meta社が発表したAIエージェント「Muse」がホテル・航空券予約サイトを介さずに直接予約を完結できる機能を持つとの報道を受け、オンライン旅行予約仲介モデルの存続可能性そのものが疑問視され、Airbnb(-7.56%)やBooking Holdingsなど同業他社とともに急落した。終値は7月下旬以来の安値水準となった。
為替・金利動向
為替市場ではドル高・円安が進行し、ドル円は前日比0.57%高の158.28円で取引を終えた。米長期金利の上昇観測を背景にドルが対円で買われた。米10年国債利回りは4.957%(前日比+0.006)とほぼ横ばいで推移したものの、直近発表の強いPMIを受けて週半ばにかけて2007年7月以来の高水準(5.135%)まで上昇する場面があり、金融引き締め長期化観測が株式市場の重しとなった。FOMC参加者の間ではインフレへの警戒感が根強く、原油高も相まって金利先高観が意識される展開となった。
今後の注目点
9月24日には新規失業保険申請件数や新築住宅販売件数の発表が予定されており、労働市場・住宅市場の減速度合いが注目される。25日には耐久財受注(速報値)とミシガン大学消費者信頼感指数(確定値)が発表される。月末の9月30日には個人所得・PCEデフレーター(FRBが重視するインフレ指標)の公表が控えており、金利先高観が続く中でインフレ動向を見極める重要な材料となる。また、ラスベガスで開催中のOkta「Oktane 2026」カンファレンスは9月24日まで続き、AI戦略に関する追加発表がサイバーセキュリティ関連株のセンチメントを左右する可能性がある。
