2026年8月11日の米国株式市場はS&P500が前日比0.32%安の7728.20、ダウ工業株30種平均が同0.34%安の53791.85、ナスダック総合指数が同0.6%安の26445.45とそろって続落して取引を終えた。米国とイランの対立激化でホルムズ海峡再開に向けた合意期待が後退し、原油価格の上昇とともに翌日発表を控えたインフレ指標への警戒感が市場を圧迫した。ハイテク大手ではアルファベットが3%超下落するなどビッグテック株が軒並み軟調で、ナスダックの下落率が相対的に大きくなった一方、資本財(インダストリアル)株が上昇してダウやS&P500の下げ幅を一定程度相殺した。VIX(恐怖指数)は15.28と前日比1.16%低下しており、指数の下落幅自体は限定的で、市場全体としては神経質ながら落ち着いた値動きだった。
米株3日続落、米イラン緊張とハイテク安が重し
2026年8月11日の米国株式市場は3指数そろって下落。米国とイランの緊張激化で原油高・長期金利上昇が意識され、アルファベット急落などハイテク株の重さがS&P500とナスダックを押し下げた。一方、決算好感でシー・リミテッドやアラマークが急騰する明暗も見られた。
市場概況
セクター動向
セクター別ではエネルギーが原油高を背景に約1.23%高と最も好調で、資本財セクターも0.65%高と底堅く推移し、指数の下支え役となった。対照的に情報技術セクターはアルファベット、アップル、アマゾンなど主要ハイテク株の下落が重しとなり軟調に推移。アルファベットはAI部門再編報道に加え、2026年設備投資見通しを1950億~2050億ドルに上方修正したことで、AI投資拡大による利益率圧迫やフリーキャッシュフローの初のマイナス転落が嫌気され、4営業日中4度目の下落となる場面もあった。個別決算では消費関連(アラマーク)や半導体製造装置(オントー・イノベーション)が好決算で買われた一方、スポーツ用品(オン・ホールディング)は業績下方修正で急落するなど、セクター内でも決算を巡る明暗が分かれた。
注目銘柄
- Sea Limited (SE): +14.56% — 第2四半期決算で売上高が前年比48.1%増の77.9億ドルと市場予想(70.9億ドル)を大幅に上回り、EC事業ShopeeのEBITDA見通しを従来の8.8億ドル超から10億ドルへ上方修正したことが好感された。調整後EPSは0.70ドルと予想(0.83ドル)未達だったが、増収基調とガイダンス引き上げが評価され株価が急伸した。
- Onto Innovation Inc. (ONTO): +9.76% — 第2四半期決算でEPS1.93ドル(予想1.69ドル)、売上高3.431億ドル(予想3.2525億ドル)と大幅に予想を上回り、下半期売上高成長見通しを従来の15%増から25%増以上へ引き上げたことが材料となった。半導体製造装置需要の拡大を背景に受注残高が11億ドルを超え、記録的な四半期売上高を計上した。
- Aramark (ARMK): +8.54% — 第3四半期決算で有機的売上高が前年比9%増、売上高50.6億ドル(前年比9.3%増)と市場予想を上回り、通期EPSガイダンスを引き上げたことが好感された。新規契約の獲得額が16億ドルを超え、フリーキャッシュフローも黒字転換するなど収益性改善が評価された。
- On Holding AG (ONON): -20.29% — 第2四半期決算で売上高が8億5030万スイスフラン(予想8億7816万スイスフラン)と市場予想に届かず、通期の売上成長率見通しを従来の「23%以上」から「20%台前半」へ下方修正したことが嫌気され急落。主力の北米事業が想定より減速したほか、直営店(DTC)チャネルは34.3%増と堅調だったものの、全体の伸び鈍化への懸念が優先された。
- Tencent Music Entertainment Group (TME): -11.92% — 第2四半期決算で増収増益を確保したにもかかわらず、市場予想を上回る利益成長を織り込んでいた投資家の期待に届かなかったとみられ株価が急落。好決算にもかかわらず売られる「材料出尽くし」的な反応となり、中国配信・音楽ストリーミング市場の成長鈍化懸念も重しとなった可能性がある。
為替・金利動向
米10年国債利回りは4.73%前後まで上昇し、前日比で約0.02ポイント上昇して1月以来の高水準に接近した。米国とイランの緊張激化による原油高がインフレ再燃観測を強め、FRBによる利上げ再開の可能性が意識されたことが金利上昇の背景。翌日に発表を控えた米消費者物価指数(CPI)への警戒感も金利先高観を後押しした。金利上昇を受けてドルは底堅く推移したとみられる。
今後の注目点
翌8月12日には7月分の米消費者物価指数(CPI)が発表される予定で、市場予想はコア指数が前月比+0.2%、総合指数が前年比+2.9%前後とされており、FRBの利下げ・利上げ見通しを左右する重要指標として注目される。また米国とイランの緊張激化を受けたホルムズ海峡情勢や原油価格の動向も、インフレとエネルギー株のセクターローテーションに影響する材料として引き続き警戒される。決算シーズン終盤にあたり、個別企業のガイダンス修正を受けた物色の分散も続く見通し。
